百道(ももち)から

考えの切れっぱし

『ブラインド・スポッティング』

 アメリカ・オークランドで育った黒人の男と、11歳からの幼馴染みという白人の話。生まれながらに差別を受ける、違う目で見られるということの重さがずっしりと伝わってくる。「自分はこうじゃない」「そんなことは思ってもいない」というのは、人種的な問題に限らず、個人単位の、誰もが抱えているジレンマなのかも知れない。加えて逆の視点から、自分だって、そういう誤った視点、誤った眼差しでも誰かを見ている可能性もある、ということも訴えかけてくる。この映画ではそれをブライド・スポッティング、盲点と名付けた。

 映画ではメッセージをさらに進める。それは主人公の元カノの発言。盲点があることを認識していても、きちんと見ていないとわかっていても、一般的にはついそう見てしまう、最初はうがった見方をしてしまいがちだということ。これにはハッとしたな。

 オープニングでは、オークランドの町や人々の暮らしが次々と映し出される。パッキリとした鮮やかさな色遣いに、強い主張を感じられてワクワクした。何よりも全体を通して使われるラップは最高。韻を踏む、リズムでもって畳み掛けるラップの底力に改めて感激した。クライマックスのシーンは、ああいう幕引は見たことがなく、かなり新鮮に映った。