百道(ももち)から

考えの切れっぱし

ふいに

高史明『生きることの意味 青春編 第1部 少年の闇』を読んでいる。日本による朝鮮の植民地支配により、強制的に連れてこられた朝鮮人家族の次男・高史明さんの青春期を綴ったものだ。支配、貧困生活、戦中・戦後の不条理などを経験し、闇を抱え、捨てながら心身ともに成長する姿が描かれている。1974年に発行され、ベストセラーになったという『生きることの意味』の背景を詳しく描きだしたものだという。

日本による植民地支配について、私は正直、きちんと知っているとはいえない。そのことを如実に感じたのは、ドラマ『Pachinko パチンコ』を観たときだ。以来、常に引っかかっているものがあった。そして前述の本を読んでますますその怖さと無責任さ思い知った。ちなみにこの本を手に取ったのは鶴見俊輔の「文章心得帖」に引用されていたからだ。

今日ふと思いついたこれらのことをまとめるにあたり、ネットで検索をしてみた。そこで見つけた以下の記事に私の気持ちはそっている。

www.gqjapan.jp

侵略し、まるで自分の国のもののように支配する。これは今のロシアの蛮行とほぼ変わらない。ほんの何十年か前のことなのだ。

加えてもう一つ、印象に残ったことを書き留めておきたい。自暴自棄となった少年は刑務所で獄中生活を送るのだが、そこで広島出身の少年と出会う。原爆で家族と住む町を失い、原爆孤児となった彼の姿を回想して描かれていた。この箇所が頭から離れない。