百道(ももち)から

考えの切れっぱし

ピンチ

 月に1回ぐらいは、こりゃあ、ピンチだなあと思う日がやってくる。原稿締め切りの直前。原稿にまったくタッチする前の、何も見えなくて恐怖っていう段階はその前。そこは通り過ぎて、蓋を開けてみたらあら、これ形になるのかしら、本当に、っていう段階。第3フレーズあたりだろうか。できるかな、どうかな、あ、もしかしてやっぱりできないんじゃないか!?と自分を疑う。疑うというか、最初からできるとあまり信じてなかったりもする。

 初めて取り組むこと、想定よりも自分の実力を上回っていたことに直面すると、深い川にもぐったときのようにアップアップと溺れそうになる。だからこんな状況は当たり前。アップアップを繰り返していかないと、次のもっと深い川にはもぐれない。アップアップでいいじゃないか。深い川底に潜っていって、良いものを拾ってくる、それぐらの余裕があってほしい。

 実際、やることは決まっているのだ。もくもくと手を動かすだけなのだ。決してあきらめないこと。食らいついて食らいついて、ワニのように原稿用紙に食らいついてやる。コントなどでいうところの、「置きにいく」はしない。最後まで食らいついてやる。